110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

「産んで」に感じ続ける圧力 多様化する家族の形、変わらない社会

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まず、今すぐなんらかの心境変化で子供を生む選択をしても、高齢者にはほぼ無縁だという事実。

産まなくて将来の社会保障やら、経済成長やらのマクロ的な要因で、住みづらくなってもそれを受け入れるのならばそれで良い。

変に、自分の立場を優位にしようと思って、自分の選択したことによるリスクを無視しようとしなければ良い・・・だけの話、それを、他者のせいにするときに、迷走が始まる。

「産んで」に感じ続ける圧力 多様化する家族の形、変わらない社会
4/30(日) 17:00配信 朝日新聞デジタル
 子どもを欲しいと思ったことはない。それなのに、「少子化」のニュースが出ると、迷い続けていた。「私たち夫婦には、子どもはいなくていいんだよね?」
 造形作家の澤奈緒さん(46)は、8歳年上の実業家の夫と都内で暮らす。
 母親から毎日、言葉の暴力を受けて育った。だから自分は子どもを産まないと決めていた。「愛し方がわからない。何より、子どもに同じことをしてしまうかもしれない」。他人の子どもを見ても、うらやましいと思ったことはない。
 それでも、「結婚をしたら子どもを産むべきだ」という見えない圧力を感じることはあった。子どもがいる友人に「産んだら人生が変わる」と言われれば、やはり悩んだ。
 圧力を感じなくなったのは、40歳を過ぎたころ。「この年だから、誰も産め産めと言わないよね、と。産まない選択をしたのに、産まない理由を探すことがバカバカしくなりました」
 澤さんは、子どもも参加できるアート講座を開いている。「私が培ってきた知識を伝えたい。子どもを産まなければ、次世代に何も残せないのでしょうか」。人がそれぞれ選択した人生を、自信をもって歩めるような世の中になったらと考えている。

■結婚、出産、決めるのは一人ひとり
 関東地方で看護師をしている女性(43)は昨年12月、ツイッターのトレンドワードに心がざわついた。
 「未婚のまま40代だと狂う」
 思わず、スマートフォンの画面をなぞる指先が止まった。40代、未婚、子なし……。キーワードは、ぜんぶ自分に当てはまった。
 32歳の時、不妊症と診断された。政府が打ち出す「異次元の少子化対策」について、「産み育てたい人をサポートするのはよいこと」と思う。その一方で、どんなに「産んで」と求められても応えられない自分に、罪悪感がまとわりつく。「社会の見えない声で、産めない自分は価値がないと責められている気がする」
 不妊症とわかるまで、自分もいつかは出産も子育てもするものだと思っていた。「嫁にいかないのか」「仕事ばっかりしてたらいかんよ」「同級生は2人目の子どもが生まれたぞ」。幾度となく地元の知人から結婚や出産を勧められ、母親に不妊症を打ち明けられるまでに10年かかった。涙ながらの告白だったが、母親がありのままを受け止めてくれて救われたという。
 「産む産まないについて、社会から価値観を押しつけられたくない。結婚、妊娠、出産。それを決めるのは一人ひとりの自由ではないでしょうか」

■「子どもを持つべき」と考える女性は半減
 生涯未婚の人が増え、結婚しても子どもを望まない人も増えている。
 内閣府の2022年の少子化社会対策白書によると、女性の生涯未婚率(50歳までの未婚割合)は1970年は3・3%だったが、2000年代に入って急激に高まり、20年には17・8%まで上昇した。
 国立社会保障・人口問題研究所の21年の調査では、独身の人(18~34歳)のうち、「結婚したら子どもを持つべき」と考える女性は36・6%と6年前の調査と比べ、ほぼ半減。一方で、自分や夫婦の生活を大切にしたいという人が増えている。
 個人の生き方や家族のあり方は多様化しているのに、「結婚をして子どもを持つのが普通のこと」という圧力を感じている人は少なくない。
 30代以上・未婚・子なしを自虐を交えて「女の負け犬」と呼んだ「負け犬の遠吠(とおぼ)え」を書いたエッセイストの酒井順子さんは、子どもを育てる人たちを大切にすべきだとしたうえで、「出生率を上げるべきだという声が大きくなればなるほど、子どもを持つことを実行していない・できていない人の中には、下を向いてしまう人もいる」と話す。「法律婚だけでなく、シングルや事実婚同性婚など、いろいろな形の家族があっていい。多様なありようを国が制度として認めることで、『こうしなくてはならない』という重荷は減るのではないか」(江戸川夏樹、渡辺洋介、伊藤恵里奈)