110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

現象学とは何か(新田義弘著)

 フッサールの後期思想を追いかけるという事で「現象学」を解説する著作。
 カテゴリーとしては「入門編」なのだろうが、私にとってはいささか厳しい読書になった。
 全体的な読み込みは不明瞭ながら、どんどん自己の内奥へと意識を追い込んでいく、フッサールの思想が、ある意味、いわゆる論理性は乏しいのかもしれないが、例えば、仏教における「禅」のような東洋思想に近いものを思い起こさせた。
 そう、遠くに行かなくとも、自分の内側に、無限の遠さがあるのだという事に気づかされた本。
 また、2度、3度と読込まないと本当の理解には行き着けない本であった。
 そして、本作は1960年代に刊行されている、いずれにせよ、良いものは年代の新旧に寄るものでは無いと思った、「現象学」の入門書としては、個人的には一番良かった。