110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

言葉とは何か(丸山圭三郎著)

 丸山圭三郎氏の著書を、入門編としてもここに上げられるのは嬉しい。
 本書は、1982年に日本放送出版協会から『フランス語とフランス人気質』の中の一部であったものを、ソシュールの思想の分かりやすい入門編として、1994年に復刊されたものです。
 本書を読んだ後に、『ソシュールの思想』などの書籍を移行するのが良いとなどと、解説してあります。

 ソシュール言語学は、構造主義の大きな基礎となるものですが、現在となっては、ポスト構造主義という、私的には「何が何やら」わからない(混沌=カオス」)の状況です。
 それでは、「ポスト~」のついた思想は廃れてしまったのでしょうか?

 あまり本書の本質と関係ないところの話ですが、本書の中の付録的存在の「述語解説」にこんな事がかいてありました。
 「構造主義・・・1960年代から80年ころまでフランスを中心に展開した学問研究の動向。実存主義と並んで二十世紀を特徴づける思想的立場となった。特にサルトルフーコーの対決で構造主義が勝利を収めて以来・・・」とあります。
 実存主義フーコーにやられたのか・・・。
 でも、キルケゴールハイデッガーはどうしたんだろう?メルロ=ポンティも一括でやられたのかなぁ・・・と思ってしまった。
 しかし、その後「諸行無常」の譬えのように、構造主義も次の段階(?)に移行していくわけです。
 それなら、私は、何故今頃ハイデッガーなどに興味を持ったのだろうか?
 ・・・と自問すると、やはり、そういう何か西洋的な「白黒」をはっきりつけるという考え方で割り切れないところに、この人は行ってしまっているように思うのですよ。
 (それなら、東洋思想に行った方が早いとか言われそうですが)
 これは、なかなかうまく説明できませんが、もう「真理」など得られそうに無い現在の状況で、この人は「最善」を得ることの「ヒント」を与えてくれそうだからです。
 ただし、これは、ハイデッガーだけではありませんで、既に、時代後れと思われている人の思想の中にも、まだそのようなものが埋もれているような気がします。