110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

アパシー・シンドローム(笠原嘉著)

 本書は、現代で言うところの「ひきこもり」症状の前にあったある症状を指して著されている。
 これは、大学で、特に成績が悪いわけでもないのに留年してしまう学生が、当時、大学での心理的なカウンセリングをしていた著者の前に表れたことによる。
 これは、自己の存在感、例えば「なんのために生きるのか」などという事象の、欠落による一種の精神的な足踏み状態に起因しているようだ。
 治療法や病理学的な分類は、当方には良く分からないが、当時は、例えば「大学の講義に出席できない」や「会社に出社できない」という、生活の一部に対する、消極性であったものが、昨今の「ひきこもり」になると、生活全体に及ぶ、消極性・逃避に、症状が進展しているようだ。
 精神的な病気というものは、なにがしか、社会の変化の影響を受けるものなのだろう。
 
 心理学や精神病理学などの本を読みはじめたのは、哲学や思想を読むことの延長上にあった。
 そして、本書を読んでいて、ふと考えたことがある。
 本書に書かれている、青年期の精神病的な行動と、本ブログでやっている事が近いのだ。
 そういえば「自分が本当は何をやりたいのか」などという事は、学生の頃には考えたことがなかった。
 随分、回り道をしたようだが、今、それを埋めようとしているのでは無いか?
 
 そんなブログだという事なんだ。