110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

生物と無生物のあいだ(福岡伸一著)

 この本は、私としては珍しく、2007年に刊行された著作です、講談社現代新書刊。
 また、内容的には、同じ講談社の「ブルーバックス」のコンセプトに近いのでないかなとも思いました。
 本書は、すでにベストセラーですので、読まれた方も多いことでしょう。
 
 最近、思想・哲学に接している関係か、自然科学批判をしてしまうことがあります。
 考えてみると、その批判の裏返しには、その明解な論理性に対する、ある意味、畏怖があるのだと思います。
 何故こんなことを書いたのかというと、本作のクライマックスの「ノックアウトマウス」実験で、もしかすると、神の領域に足を踏み込むかという、スリルを味わったからです。
 そして、その瞬間に、本当の意味のどんでん返しに遭遇します。
 そこで、
 「哲学者。思想家が恐れる瞬間と、ほっとする瞬間」を味わったわけです。

 その詳しい内容は、書評もあちこちに出ているでしょうから、そちらにおまかせして、こういう科学ドキュメントものに興味のあるかたは一読をお薦めします。

 また、2重らせんで有名な、ワトソン。クリックだけではなく、その基礎となった研究をした<名前ない>研究者たちも、沢山出てきて紹介されます。
 
 異論はあるのと思いますが、本書のような、自然科学の研究者の考え方と、哲学・思想というのは、現在では、異なモノと考えられていると思います、しかし、本書を読むと、その実、その奥には、共通点があるように思いました。
 もとより、自然科学自体が、哲学から派生したことを考えると、その分岐する幹の部分を再確認(再発見?)したような気がします。

 ずいぶん昔に、わかりもしないのに、一生懸命ブルーバックスを読んでいたことを思い出しました。
 本書を読んでいて、何故か「マックスウェルの悪魔都筑卓司著)を思い出していた。