110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

宗教は国家を超えられるか(阿満利麿著)

 本作品は、1994年に講談社から刊行された作品が、改題されてちくま学芸文庫で文庫版化されたもの。

 明治時代から昭和の終戦までは、日本という国としては得意な時期にあたると思う。
 それは、江戸時代までの歴史の流れが、ここで、折り曲げられているからだ。
 山本七平氏も、三権分立ではないが、二権分立(朝廷、幕府)という政治形態は優れているものと評価していた。

 それが、天皇を頂点とする、ある意味独裁的な政治に変化したわけだ。
 本書は、宗教のひとつであるはずの神道が政治(権力)に組み込まれていくその歴史を検討していくという作品であり、「信教の自由」とはどういうものかという事を考えさせてくれる作品。
 
 そして、その(曲げられた)宗教観は、現代にも引き継がれているのではないかと著者は危惧している。
 宗教は薄れている、無信教だという人も多いだろうが、無意識のうちに宗教的な行事に参加したり、行動をしていないかと心配になる。
 
 クリスマスを無邪気に楽しむ国民(性)のその裏には何があるのだろうか?