110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

日本史を読む(丸谷才一・山崎正和著)

 本書は1998年に刊行されたもの、現在は、中公文庫で読むことができる。

 丸谷才一山崎正和両氏に興味をもったのは、「読書のあしあと」で山崎氏の「社交する人間」という著作の紹介を受けて、その書籍を探しているうちに、この山崎氏と丸谷氏が、良く対談していることを知り、そこで、一冊読んでみようと思った。
 山崎氏の著作は「混沌からの表現」という比較的初期の作品を読んだ、そこでも「社交」という言葉と、室町時代への傾倒が伺えたので、何か、歴史観のあるものを読んでみたいと思っていたので、本書を読んでみた。
 我ながら、変な読書の仕方だと思うが、「社交する人間」を読むために、寄り道しているのだ。
 読んでみると、ある考え方がわかる、宮廷、サロン、茶室など、社交(会)という考え方が基本になっているのだ、逆に、禁欲的な、儒教思想などは余り好きではないようだ。
 サロンというのはどういうものだろうか、都市と言うものは虚構的なものだという様な表現が本書にあったが、そのような、虚構的なスペースのようにも思える。
 そこでは、ある種の「社交」ルールがあり、たとえ、実時間では戦闘状態でも、その中では休戦するような、なにか特別な、ある意味理性的の空間の存在をほのめかしているようにも思う。
  
 さてさて、本書の内容には触れずに脱線してしまったが、ちなみに、本書の歴史観は、躁状態鬱状態という観点から見ると、躁状態歴史観だと思う。