110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

南方熊楠(鶴見和子著)

 本書は「日本民族文化体系」の第四巻として1978年に講談社から刊行されたもの、私は、1981年が初刷の講談社学術文庫版で読んだ。

 南方氏の凄さは、既に、ご存知の方も多いと思うが、本書にも「学問好きの、学校嫌い」というように、形にとらわれた学問を拒否しながら、自力でとてつもない領域まで、自分の学問を高めていくその姿勢には、「とてもかなわない」と思ってしまった。
 明治という時代に、プラグマチズム的な、しかし、その反面エコロジーや宗教までもその範囲にふくめた南方熊楠の、当時としては先進的な、そして、ある意味東洋的な、思考の深みに興味を持ってしまった。
 熊楠の神社合併反対運動には、多様な学識から生み出された警告だと思うが、これを現在に投影してみると、いくつかの社会問題、例えば環境問題を暗示していると(いささか、極端かもしれないが)見ることができるのではないだろうか?