110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

いろいろな人たち(カレル・チャペック著)

 私にとっては「ロボット」の産みの親としてのイメージのある、チャペックのエッセイ集。
 平凡社ライブラリー版を読む。
 いくぶんくだけた感じで楽しく読むことができた。
 このうちに「車輪」という題名の小論で、現在の人間なら、2本足よりも車輪のような足の方が合理的だろうという趣旨の文章の部分にこうある。
 「ただ、それがどんなにおかしかろうと、または古めかしかろうと、人は自分の昔ながらの足で歩くこと、つまりひざ栗毛に味方する側に立っている。たとえどんなに上等な乗物や車輪が発明されても、二本足の生き物のままでいるだろう。なぜなら、人間の両足はたしかによい道路の上では最善の交通手段ではないけれども、それでも悪路をたどるには、たとえば階段などの場合には、まだつねに最善の交通手段なのだから。もし両足の代わりに車輪を持つなら、人間は技術的により完全になるであろう。しかし、一つの可能性を失ってしまうことになる。すなわち、道なき道を歩むことである。・・・・」
 文明が発展すること(便利になること)で、失うものが少し見えるような文章でした。
 (やはり、二足歩行でしょう、本ブログの立ち位置は)

 全体に、平和に見えるエッセイ集なのですが、1920年代から1930年代に書かれたものであり、その後半は、第二時世界大戦の少し前の緊迫した時期でもあるわけで、その奥に、何か意図があるのではないかと、深読みしてしまうところもあった。