110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

コーラン(井筒敏彦訳)

 本書は岩波文庫で読むことが出来る井筒敏彦氏の口語訳版。

 経典というものはこれまで読んだことが無かった、読んでみようと思ったのは、ある意味興味本位だし、翻訳を井筒敏彦氏が行ったからだ。
 しかし、世界的宗教の本源には、文化の源が流れていることは確かだと思う。
 
 最初は小さな流れだったものが、現在に至り、政治的、文化的な力を持つにいたっているのだ。
 (石油産油国のうちの裕福な国々で、イスラム教が主教な国などがあることを考えると、本当にそのご利益を受けているのかもしれないと、非常に下世話な考えが頭をよぎってしまった)

 さて、読んでみて思ったことは、当然、イスラム教も平和を願っていること。
 初期の遷行期に戦闘を繰り返した時期があり、そこで、無宗教者(迫害者)に対して徹底的に戦うというところがあり、それが「聖戦」という行為・思想に結びつくところもありそうだが、全体的に好戦的な印象は受けなかった。

 アラブ人に理解させるためにアラビア語で書かれた「コーラン」を、その意味の何がしかを失っても、日本語で読めるようにした、井筒氏の熱意について考えてしまった。
 そして、言語的に、ある意味圧倒的に不利な日本語で、翻訳された各国の文献が読めることが幸せだとおもった(こんなに翻訳が進んでいる国は他に例がないと聞いたことがある)。