110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

物象化論の構図(廣松渉著)

 本書は岩波書店から1983年刊行のもの、現在は岩波現代文庫で読める。
 廣松氏の著作は、最近ちくま学芸文庫で良く見かけるようになってきた。
 これは、喜ばしいことだ、私のところにも、まだ何冊か眠っているが、なんとか読んで行きたい著作だ。
 マルクスの思想・哲学は、終わってしまったのだろうか?
 一見、その象徴としてのソ連の体制的崩壊で、直感的(感覚的)に終わってしまったものという思い込みを持っているのではないか?
 マルクスの哲学とは何だろう?
 そして、未だに研究を続けている人がいるのは何故だろうか?
 本書でも「物象化」というキーワードについての論文が幾つか収められている、それは、現在にも残されたもの、課題であるようにも思う。
 マルクス、そして、廣松氏も指摘する「物象化」は、私も知らないうちに嵌まり込んでしまった幻想であるようにも思える。
 
 アルチュセールのときもそうだったが、マルクスやその影響を受けた思想家・哲学者の著作を読むことは、先入観や好悪の感情はあろうが、そういう偏見を超えて見ると新しい(古い?)事に気づくことがある。

 そんなことを考えてしまった。
 (しかし、本書は随分時間をかけて読んだが、なかなか難しい・・・)