110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

知識人とは何か(EW.サイード著)

 本書は1995年に平凡社から刊行されたもの、現在は平凡社ライブラリーで読める。

 この著作は1993年にBBCが行っているリース講演を、サイードが表題のテーマに従って行った6回の講義録となっている。
 知識人とはなんであろうか?
 そして、昨今、メディアに現れる、知識人のイメージはどうであろうか?
 サイードはここでは、(国家)権力や大衆の動向に左右されない、自分の主張を持った知識人というものを想定していると思う(サイード自身の立場か?)
 そして、多様な意見を持ち続けること、そして、金銭に左右されない、アマチュアの立場に居続けることを主張している。

 本書では「失敗する神々」という言葉が出てきた、なかなか意味深い言葉だが、その「神々」は、知識人を熱狂的に受け入れたり、有名にしたり、金銭的に裕福にしたりすることがある。しかし、その熱狂も時間が経つにつれて当初の効果が出ない事があるかもしれない。そう「神々」とは、権力機構であったり、大衆であったりするからだ。
 確かに、現在は大衆がコントロールする世界であるが、例えば、多数派が支持する政策などが、必ず正しいということではない。
 少数派(マイノリティ)であっても、その主張が正しいことも(しばしば)ありえるのだ。
 知識人とは、そういう意味で、特に、権力による意見の偏在化に抵抗するものであろう。

 さて、また日本でも選挙が行われそうだ、今度の選択は、(投票を)逃げ出したくなるほど、ひどい状況にあると思うが、さりとて、この国の国籍を持っている以上、どこにも逃げ出す場所などはないのだ。
 (異論もあるだろうが、私は国の借金を減らして欲しい。国民の財布に手を突っ込まなくても良いようにして欲しいのだ・・・)