110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

ひかりごけ(武田泰淳著)

 本書は新潮文庫版で、表題作「ひかりごけ」の他に、「流人島にて」「異形の者」「海肌の匂い」の小編、4編が収められている。

 何故、今頃、武田泰淳なのかは、先日前に読んだ、竹田青嗣氏の「現代批評の遠近法」の中で取り上げられており、興味を持ったからだ。
 今まで、背伸びをして、敢えて、思想・哲学のジャンルの本を読んできたが、最近は、芸術の中でそれを考えても良いと思うようになった、しかしながら、突然、詩や絵画といったジャンルに飛び込む自信は無いので、小説の中にそれを求めて行こうと思ったからだ。

 「それ」とは何かは、まだ曖昧模糊としているが、その片鱗は、本作の中に見え隠れしている。
 とても言葉で言いえないもの、本書の表題を借りれば「異形の者」を探すことにある。

 異形とは何であろうか?
 それを、追いかけるためにも武田氏の著作を機会があれば追いかけて行きたいと思う。