110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

資本主義を語る(岩井克人著)

 本書は1994年講談社刊行、現在はちくま学芸文庫版で読める。

 ここのところ、昔、習った「経済学」に関する本を読むようになってきた。
 と言っても、教科書ではなく、多分に、思想・哲学的なものが多い。
 そして、何故か、岩井氏の著作は、最近、立て続けに3作読んだことになる。
 それだけ、面白かったのだろう。

 さて、本書は、資本主義についての考察を、講演や対談をもとにしてまとめたもの。
 私的には、マルクス経済系の、柄谷行人今村仁司との対談で、特に柄谷氏との緊張感のあるやり取りが興味があった(当然、柄谷氏、岩井氏ともに寸止めであったろうけど)。
 そして、もう一人、歴史学者網野善彦氏とも対談しており。
 以前、私が読んだ経験のある人が多数現れ、岩井氏と対談・討論するというそのことが面白く思われた。

 そして、資本主義というものの定義を再認識することができた、だから、社会主義でも資本主義であるということ、その両者は、対立概念(カテゴリー)でないことが分かった(昔、経済やっていたのにそんなことも知らなかったのだ・・・反省)
 そして、本書の出されて1994年という時点から、日本、そして日本資本主義を批判して、ある意味転機にあること、そして変わることを提唱している。
 本書の意図のように、日本は変わったかどうかはなんとも言えないが、現在、日本は変ったと思う。
 そして、アジアの新興国が以前の日本に近い思想なのではないだろうか・・・と思う(本書の受け売りだが)
 そうすると、資本主義という範疇の中で、変わった日本は、どこに行ったのだろうか?
 そんなことを考えてしまう。
 そして、経済学というものの広がりや面白さが今になって分かった気がする。