110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

進化とは何か(今西錦司著)

 本書は1975年講談社刊行の「今西錦司全集」からの抜粋、講談社学術文庫版を読む。

 本書は、今西進化論と呼ばれるものの概論的な説明で、ダーウィンの進化論やラマルクの進化論と対比する形で論が進む。

 特に、ダーウィンの進化論のある種の矛盾や、その理論が広がる(西洋的)思想背景などに鋭い批判が向けられる。
 進化というものは、長いサイクルで達成されるもので、簡単に実証されるものではない。
 しかし、長いサイクルの進化の目的(ゴール)に向かう、その「進化の方向性の決定」はごく短期間で決定されたはずだ。
 そういう意味で、人間は意図して人間になったという趣旨の本書の内容について考えさせる事も多い。

 例えば、先回紹介した「自我の起源(真木悠介著)」の内容を借りれば、シアノバクテリアの活動で、地球の酸素濃度が(異常に)上昇したことに対応して、酸素を消費する生物が誕生したとされる、・・・それならば、人間は、最後にやってきた「二酸化炭素を大量排出する種」ではないのか・・・・?

 本書は楽しく読んだ。