110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

カフカ短篇集(フランツ・カフカ著)

 本書は岩波文庫版で読む。

 カフカについては今更いう事も無いと思う。
 彼の親友の裏切りで、彼の著作が今も読めることは大変幸運なことだと思う。

 以前は、その特殊な状況設定や話の内容を、単純に楽しんでいただけだが、今回は、その話を自分なりに解釈できないものかと考えつつ読んだりした。

 すべての作品について言えるわけではないが、氏の著作には、何か支配体制が疲弊することによる停滞を暗示するようなところが見受けられる。
 もっと飛躍すれば、文明・文化の停滞、爛熟といったものが見え隠れする。
 そして、その影響(とばっちり)を、底辺の人間(主人公)が、理不尽に受けてしまう姿が描かれている。

 さて、そういう理不尽に、押し流されている人が多いのだろうか、本書もよく読まれているようだ。
 本作の「万里の長城」などは、(象徴としての)皇帝が、国を支配しているのか、それともさせられているのか、という弁証法的な考え方に共感を覚えた。

 また、カフカを読み直すかな?