110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

阿片(ジャン・コクトー著)

 阿片中毒になった著者が、解毒治療中に書いた日記とデッサンを集めたもの、角川文庫版を読む。

 翻訳者のあとがきにあるように、阿片の治療は非常に苦しいものらしい、しかし、本書ではその様な側面はまったく窺い知れない、(あとがきに)「強靭な意志の人」とあることに共感をおぼれてしまう。

 それは、本書の文章がしっかりしているところにも見出せる。
 詩人として、普通の人の見出し得ない領域について語るときは、その意味を追うことができないところがあり、それが私の凡人の証明として悔しいのだが、明らかに意味が通じないということはないのだ。

 そこには、著者の、天才が伺える様に思う。
 また、著者の芸術家としての内面を伺うことのできる著作として、貴重なものなのかもしれない。