110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

排除の構造(今村仁司著)

 本書は1989年青土社刊行のもの、現在はちくま学芸文庫版で読める。

 マルクーゼの後に、本書が来るのは出来すぎなのかもしれない・・・そう思っていただけると嬉しい(ただし、この並び方は偶然だ)。

 今村氏の、第三者排除効果論については、いまひとつ核心を理解できないのが悔しいところだが、例えば、現在、渦中にある、金融危機を発端とする100年に一度の不況という現象について、何か示唆するところがあるのではないかと思う。

 あくまで直感に基づく比喩的な話だが、ほんの数十年前までは、「祭り(ハレ)」に対して「日常(ケ)」があったと思う、その生活(システム)が、正しいのかどうかという判断はとりあえず保留にして、現在の生活は、その「日常(ケ)」の部分が異常に少ない、もしくは無いの状況ではないのか?
 それは、「祭り(ハレ)」の毎日である(ただ、ディオニソスのような状況とも異なるように思う)。
 そのような、特異な状況はいつまでも続くわけではなく、いつか突然にその異常性に気づくことになる。

 そういう事ではないのだろうか?・・・と考えた。