110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

生命の多様性(E.O.ウィルソン著)

 本書は1995年岩波書店から刊行されたもの、私は2004年初版の岩波現代文庫版を読む。

 生物の棲む世界は、とても精緻に組み立てられている。
 本書の様な本を読めば読むほど、もの凄く良く考えられたシステムなのだ。
 それを考えると、本当に神は存在するのではないかと思えるほどだ。

 そして、生物の世界は、地球という球体のほんの薄皮の部分にあるのだ、そこには、至るところに生物がひしめき合い、関係性をとりながら、生物の世界を維持しているのだ。
 TVのCMで使われる、除菌、防虫などの言葉が、もし言葉のとおり、細菌や虫を100%死滅できるのならば、その時は人類も生存不能なのだ(宇宙船の様に、自然の力を借りずに、食料や大気、排泄物の循環系を構築できれば可能だが・・・・?)。
 生命の多様性は、その様な極端な不均衡を予防する、防御柵(策)なのだ。
 しかし、本書の書かれた時点でもそうだったし、多分現在もそうだと思うが、この多様性を崩すこと、すなわち、種の絶滅が驚くべきハイペースで行われているのが(今)現在なのだ。
 その立役者は、隕石でも、気候変動でもなく、我々人間によるものなのだ。

 そういう面で言えば、人間というものが矛盾に満ちていることに気づく、それは、いわゆる地球の生態系の中のメンバーでありながら、その恒常性を破壊する行為、すなわち自分で自分の首を絞めることが可能な「何か」なのだ。
 いや人類はその苦境を、理性(科学)で乗り切ると言う向きもあろう。
 ・・・それは、人類としてはそうせざるを得ないことだろう。

 しかし「エコビジネス」という言葉も作ってしまったことに対しては、余りにも軽率なようにも思うのだが、環境と経済は、何か矛盾する様に思うのだ。
 いや、エコをビジネスするのだという向きもあろう・・・それでは、環境は良くならない様な気がするのだが?

 そんなことを考えてしまった。