110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

忠臣蔵とは何か(丸谷才一著)

 本書は1984講談社刊行のもの、私は、同社文芸文庫版で読む。

 季節はずれの話題だが、突然「忠臣蔵」という言葉を思いついた。
 以前、山本七平氏の著作で論じていたことがあったが、今回は、丸谷氏の著作が目に付いたので読んでみることにした。

 内容は、丸谷氏のことなので、とても楽しい読書ができるのだが、問題は、この忠臣蔵の2面性をどう考えるかだと思う。
 それは、主君に忠実に仕えるという美談なのか、それとも、世の中の不満の捌け口なのか、その面をよく考えなければならないと思う。
 そして、本書では、簡単ふれるだけにとどまったが、この事件の不条理なところをどう考えるかだと思う。
 そう、浅野内匠頭を殺したのは、吉良上野介ではない。
 しかし、その恨みをはらす(?)対象となったのは吉良氏である。
 そこには、何か政治的な意図があったのではないか?
 そして、それがある種のイメージとして神話化されているのではないか?

 そんな事を考えてしまうのだ。