110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

自己と他者(R.D.レイン著)

 本書はみすず書房1975年初版のもの、ちなみに、これはリサイクル書籍であった。

 現在の心理学は随分発展しているのだと思うのだが、やはり、本書の題名でもある、自己と他者という関係性については、何か考慮する点があるのではないkだろうか?
 人が、その精神性を崩すという事象は、自ら崩れるということよりも、他者との関係性の中で、変質するという方が、一見優れていると思われる。
 ただし、そのときに、単なる関係性ではなく、再帰性を考えねばならないことが、問題を複雑にするのだろう。

 本書の事例は、家族内、親子関係という、ある意味逃避できない関係を事例としてあげているが、現在はどうなのだろう?
 比較的簡単に、家族の枠から飛び出してしまえるのではなかろうか?
 そうなると、次に思い浮かぶのは、そもそも、ある人が、ひとつの人格(自己)で生きているのであろうか?・・・ということだ。
 すなわち、例えば、仕事と個人の間で、別の顔、人格で生活が可能なのではないか・・・ということで、単純に「二重生活」という考え方もあれば、「分裂症的生活」ということもできるのではないか?
 さて、そうなると、分裂症的な生活者が増えると、その状況が「正常」ということになる時期があるだろう。
 その時には「異常者」とは誰なのだろうか?

 本書では、ダブルバインド理論も出てくるのだが、現在の日本の状況を見ていると、(そういう擬人化は詭弁だという方もありそうだが)、ダブルバインド状態の様な気もする。
 財政支出を抑えたいが、抑えると、税収が落ち込んでしまう、消費税等間接税の増税をすると、景気が落ち込んで、税収が落ちんでしまう、しかし、高齢化は進み、年金、医療費などは増加傾向にある・・・・。

 うーん、いろいろと難しいのだ。