あ・うん(向田邦子著)
本書は文春文庫版で読む。
人の中には暗い部分がある、それを知りつつ、表に出さないこと、それは人生なのだろう。
そして、それが人間なのかもしれない。
そして、それが人間なのかもしれない。
「あれ、なんていったかな、ほら、将棋の駒、ぐしゃぐしゃに積んどいて、そっと引っぱるやつ」
ああ、こういうのねと女二人が、積み将棋の手つきになった。
「一枚、こう引っぱると、ザザザザと崩れるんだなあ」
女二人、そのままの手つきで次のことばを待った。
「おかしな形はおかしな形なりに均衡があって、それがみんなにとってしあわせな形ということも、あるんじゃないかな」
君子がたずねた。
「ひとつ脱けたら」
「みんな潰れるんじゃないですか」
ああ、こういうのねと女二人が、積み将棋の手つきになった。
「一枚、こう引っぱると、ザザザザと崩れるんだなあ」
女二人、そのままの手つきで次のことばを待った。
「おかしな形はおかしな形なりに均衡があって、それがみんなにとってしあわせな形ということも、あるんじゃないかな」
君子がたずねた。
「ひとつ脱けたら」
「みんな潰れるんじゃないですか」
本編「やじろべえ」の中の一説だが、これが最後の「四人家族」の、前振りに思えてしまう。
それは、意図してここに置いたのかどうかはわからない。
それだけ緻密な、積み上げ方なのだろう。
それは、意図してここに置いたのかどうかはわからない。
それだけ緻密な、積み上げ方なのだろう。
確かに本編は作りごとではあるが、そういえば、何の約束も無く人の家を訪問できる時代は、確かにあったよなぁ・・・そんなことを思うのだ。
今は、よく見ると「功利主義」4文字を額のところに彫りこんで闊歩している人が多いんだよな。