110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

芭蕉入門(井本農一著)

 本書は講談社学術文庫版。

 松尾芭蕉についてラジオで放送したものを、編集したのが本書であり、良い入門書だと思う。
 そして、芭蕉の俳句の変遷についても解説している。
 奥の細道を境に「不易流行」を唱え、実際には「軽み」の句を作ることを目指すのですが、その「軽さ」ということが、非常に難しいことだと思うのだ。
 「軽さ」を作るには、「重さ」がなければならない。
 「重さ」の対に「軽さ」があるということは、「重み」を知らねばならない。

 そして、日常を離れて、芸術に没頭する、芭蕉という人の、その存在・(不安(定)な)位置というものに思いを馳せなければならないように思うのだ。

 その難しさが、なんとなく見えるのだ。
 「わび」とか「さび」とかいうこともそうだが、端的なものには、その対のものが裏地のように(影のように)あることで、存在することができるのではないだろうか?

 まぁ、こういう風に書いている、私自身は、単なる「門前の小僧」なのだが・・・・