110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

人と人との間(木村敏著)

 本書は1972年弘文堂より刊行のもの。

 本年の初読みは、およそ40年前の著作となった。
 本書は、その副題にあるように「精神病理学的日本論」である。
 それは、少し懐かしい「日本(人)論」という体裁であるのだ。
 本書では、その民族の精神性を、風土(和辻哲郎を参照)に求め、その精神的な影響や差異を、西洋的・東洋(正確には日本)的な、いわゆる文化に求め、そこに表れる精神病と、その基本に潜在する、日本人の精神性を俯瞰しようという内容だ。

 現在からすると随分古臭いの著作の中で(大変失礼!!)、興味を持ったのは、本書で言われる、西洋と東洋が、現在の日本という国の「世代間」というくくりに還元できないだろうか?・・・と思ったからなのだ。
 そう、私は多分、旧日本人であり、そして、今は、どんどん新日本人が出てきている。
 その混合比により、以前の常識は非常識になってきているように思う。
 それは、古臭い言葉で、一言で言ってしまえば「諸行無常」なのであろう。

 さて、その中で、私は、どの様生きればよいのだろうか?

 これは、答えの無い設問である。