110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

岩波書店と文藝春秋(毎日新聞社編)

 本書は1996年毎日新聞社刊行のもの、戦後50周年を節目として、様々な事件を、岩波書店「世界」と「文藝春秋」の記事を参照しながら振り返るというもの。

 まずは、岩波書店(世界)と文藝春秋に目をつけるという着眼点が素晴らしい。

 そして、本書で取り上げられている事件は、何故か1970年以前の方が圧倒的に多い・・・これはどういうことだろうか?
 それだけ、1970年以降の日本は、表面上は平和な時代だったのだろうか?
 まぁ、単に、編集の都合かもしれないのだが、面白い発見ではある。

 また、岩波書店「世界」は思想的なのに対して、「文藝春秋」は出来事をそのまま伝える(ジャーナリズム)傾向が強い。
 それは、イデオロギーというものが嫌悪される風潮に従って「岩波書店=世界」の存在感を喪失していくのだ(思想などなくてもやっていけるさ・・・って感じかな、でもそうだろうか?)。

 さて、本書を読んでいて、ぼんやり思ったのが、やはり「昭和」と「平成」の間には何か「壁(得体の知れないもの)」があるように思うのだ。
 そう、GDPが世界2位になったのも、製造業で世界を席巻したのも「昭和」であり、その後、凋落傾向(適切な言葉が思い浮かばないので)にあるのは「平成」なのだ。
 そして、「平成」という時代区分には、「平成」としての(この国の)あり方を考えなければならないのだろう。
 それが、上手くいかないで、20年を過ごしたのが「今」のような気がする。

 うん、財政破綻したら「平成」の大事件にはなるな。