110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

喪失の国、日本(M・K・シャルマ著)

 本書は文芸春秋社2001年刊行のもの、私は2004年刊行の文春文庫版で読む。

 本書には興味があったのだけれども、随分昔の日本について書いてあるので、読んでみるべきかどうか悩んでいたところ、100円になってしまったので手に取ったのだ。

 一読すると、すぐわかるのだが、この著者は只者ではない、目の付け所といい鋭いのだ、三島由紀夫金閣寺」についての論評など参考になる。

 ちなみに、著者が日本に滞在していたのは1992年~1993年の約2年ほどである。
 すなわち18年前の日本の状態なのだ、当時30歳の人は現在48歳程度ということになる。
 だから、今は見受けられない事やモノが書かれているかもしれない。

 しかし、そういう事を除いて考えても、問題点は浮かび上がる、そして、それは今後の世代も含めた課題であろう。

 それらは、例えば、宗教観や、国防・安全保障や、国体などの基礎的なものであろう。
 まぁ、例題として良し悪しはあると思うが、(まだ解決できない)普天間基地問題について、国防の観点がどうしても抜け落ちる論点になるのは何故だろうか、そういう時にはすぐに憲法第九条が上げられるのだが、仮に米軍が引き上げてしまったらどうなるのだろう?
 防衛は国の基礎ではないのか?
 現在の日本は国の体をなしているのか?

 そんな国としての基本的な事が他人事なのは、結論的にどうなのだろう?
 そんなことを考えてしまうのだ。