110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

「依存症」の日本経済(上野泰也著)

 本書は2009年講談社刊行のもの、このような時事ものは流行り廃りが激しいのだろう、既に、105円になっていた。

 早速読んでみると、日本の将来を、少子高齢化が先行で進んでいる、秋田県になぞらえて観察するところは面白い着眼点だと思う。
 すなわち、秋田県が再生する方法は、日本にも利用できるかもしれないのだ、しかし、考えるに、現在の日本では、例えば「秋田県だけ」を対象に政策が出来るのか・・・・?多分自明な疑問が思い浮かぶ。
 既に、かなり追い込まれてきているはずなので、全体にくまなくその資金や能力を配分できないであろう・・・まぁ、自分で稼ぐことを知る人材がいなければ、どこかでも書いたが政府部門は「コストセンター」以上の存在にはなりえないはずだ。

 さて、本書を読んで先日読んだ大前研一氏の著作と比べた時に、大前氏は(なんと言うか)外国人の視線から日本を見ている感じがし、本著者は、日本国内に居て評価・批判しているような気がする。
 だから、大前氏は今後について面白いアイデアがあるし、本書は、問題提起的に終わってしまう。
 問題提起は、やろうと思えばできるのだが、どう解決するのかが本当の議論である。

 例えば、「ねじれ国会」などという自明の言い訳を封じてマスコミ報道するようにしてみると面白いのでないかと思う。
 雑談になるが、この言葉は、よく考えてみると「国民の信任投票によって政策審議が進まないようにした」という意味なのだから、しかし、その逆に、政治的に各種問題解決を望んでもいるのだ、そういう根本的な問題の源泉を(ベイトソンの「ダブルバインド」の状況を)他人事でなく理解する必要性もあるのだ。