110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

俳句(阿部筲人著)

 本書は講談社学術文庫版で読む(1984年が初版)、ちなみに著者名は「あべしょうじん」である。

 濫読をしているので本書の様なものに出会うことがある、俳句に興味があったわけでもなく、更に、こんな分厚い本を終わりまで読むかというと、そういう自信もなく、「安かったから買っておこうか・・・」という本であった。
 しかし、本書は面白いのだ、解説の内容をそのまま受け売りすれば、本書で表された、素人の陥る罠、それが、日本人の陥りやすい方向性を著しているのだ。
 本書では、俳句にあいて「具象性」が大事だと告げている、それは、彫刻や絵画にも共通することだと思う、それは、私が得たある特殊な感覚を他人に伝えるために、具体的なモノとして創りだすということなのだろう。
 だから、そこに主観的なことが入り込んでもいけないし、自分の感覚を誇大に、また、過小に表現してもいけないという厳しい姿勢が求められるのだろう。
 しかし、逆説的に言えば、それだけ多くの初心者が陥る表現、それが大衆の求める表現なのかもしれないのだ、それは、下賎な表現かもしれないが、多くの支持を受ける可能性があるのだ。
 だから、俳句は、今も少数派だが、歌謡曲はひとつの産業として存在するのだ。
 (歌謡曲の歌詞って紋切型が多いよねぇ・・・)

 さて、この状況をどう捉えて行けば良いのだろうか?・・・一つ言えそうなのは、どうにもならない流れなのだろうということだ。

 何か、変な方向に行ってしまったが、結論として、本書は「俳句」という狭い範囲に囚われずに読めば、日本人の癖(社会性)のようなものが覗えるという、面白い一冊なのだ。