110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

物質と光(ルイ・ドゥ・ブロイ著)

 本書は岩波文庫版で読む。

 20世紀初頭の物理学は画期的な進歩を示した、本書でも度々出てくる「相対性理論」と「量子論」である。
 しかし、その反面今まで思っても見なかった難題も現れる、それは、不確定性原理であり、量子科学の限界を示したことにもなる。

 さて、本書については、哲学的な話題でもある、連続と不連続、そして表題に関連することだが、光の波動性と量子性という相容れない2面性について、時には物理学的に、そして時には哲学的な考察を披瀝している。
 本書の冒頭にもあるが、本書は比較的一般向けに書かれた所論であり、時折出てくる数式も、私のような数学オンチも飛ばして読めばよいので、そういう意味では手ごろな作品であり、また、私は本書を哲学書の一つと思って読むことができた。
 現在は、物理学もそれなりに進歩していることだと思うが、私にとっては、この時期の著作でも随分と楽しんで読むことができた。

 ちなみに、ゼノンの「飛んでいる矢」のパラドックスも、量子レベルでは不確定であるということで決着がついてしまったのは面白い。