110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

思考の整理学(外山滋比古著)

 本書は1983年筑摩書房「ちくまセミナー1」として刊行されたもの、私はちくま文庫版で読む。

 私的にきになったのは、少し前にあげた「文科系の技術読本(森谷正規著)も「ちくまセミナー」シリーズのうちの1冊であり「思考の~」は長く版を重ねてベストセラーになり、「文科系の~」は廃れた、こんなところに興味を持った
 確か数年前に「東大生が最も読んだ・・・」みたいな帯があり、何かと不思議がって注目したが、この国は、そういうベストセラーは数年で古本屋に詰まれる運命にあるので、達観していたら105円になった。
 (自己矛盾している様だが、そういう価値のあるものが安い国なのだ)

 だから読んでみた、お読みになった方なら分かるが、まず、グライダーと飛行機の喩えが出てきて、ある種のノウハウ本かと思ったが、読み進めると多く読まれたことが分かるような気になった。

 1つは、ここで上がられる事例に興味を持ったこと、例えば、島田清次郎という人が上げられていたり、物理の散歩道~ロゲルギスト、そしてセレンディビティという単語(言葉)こういう事象が突然現れて違和感を持ちつつも、最後は各章での主題に修練してくるという、意外性に惹かれたこと。
 そして、何よりも、ある主題について説明する文章としては、非常に完成されていていること、全く文学的な文章だとは言えないと思うのだが、何かを他人に伝える時の文章としては、特筆すべきレベルであると言える。
 こういう文章に浸るだけでも、無駄ではなさそうだと思った。

 「思考の整理学」の内容は? ・・・地道な努力の賜物ですね。
 文章をこれから書いていこうとする方で、未読の方は一度お読みください、一読で、本書の趣旨は理解されると思います。