110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

唯一者とその所有(シュティルナー著)

 本書は、現代思潮社古典文庫版で読む。

 金子光晴も本書に影響を受けたという。

 ヘーゲル左派の著者の作品、偏見も含めて余り期待をしていなかったのだが、意外に含みの有る著作だと思う、単に、エゴイズム、ニヒリズムという枠にはめ込むのではなく、彼の言うエゴイズムという考え方が「社会システムの矛盾」に対峙したときの自身の立ち位置を考える上で役に立つのではないかと思うのだ。

 本書を読みながら、もし「今後の電力不足のために新しく原子力発電所を建設しなければならない」という世論や政府発表があったときに、賛成するか反対するかを考えていた。

 直感的には反対だ。
 しかし、経済成長、財政再建、復興促進等々のフレーズを連発して世論は盛り上がるだろう・・・・その時点でも、否と言えるか?

 繰り返しになるが、その時の立ち位置を教えてくれる著作だ。

 なんとなく、ニーチェフーコーに通じているようにも思うのだ。

 今から150年以上前の作品だが、今も読める作品だと思う。