110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

パスカルの哲学(ジャン・ブラン著)

 本書は、白水社文庫クセジュ1994年刊行のもの。

 パスカルは哲学者かどうか?
 そういえば、三木清パスカルについて著作があったし、大分前に「パンセ」を読んだことがある、それも「考える葦」はどこにあるのかという不謹慎な読書であった。
 それから、パスカルといえば、対デカルトであったり、対モンテーニュであったり、とかくそういう面白そうな方に思考がいってしまう。

 しかし、本書を読んでいると、パスカルの哲学、その立ち位置が見えてくる。
 それは、宗教家としてではなくかといって科学者の立場でもない、独特のポジションにいるのだ。

 それは、私の乏しい語彙で言うと、山本夏彦が言っていた「分際をわきまえろ」ということではないのかと思う。
 数学や科学の力で神の領域にまで到達しようとする人間中心主義でもなく、理不尽にも神の信仰を強制する宗教でもない、神を本当に畏れるところ(どこ?)にいなさい・・・・ということであろう。

 それは、現在にも通用する、バランス感覚である、しかし、人間というものは特に気が弱くなると、表面的な「絶対」や「真理」を求めがちだ。
 そうならないようにご用心ということだが、それが難しいのだよね。

 少し、パスカルのことを勉強した気になったので、また「パンセ」を読んでみようかな?・・・読むのには、少しばかりの度胸と時間がいるんだよね。