110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

断章57~59

 断章57は、挨拶に意味を感じると違和感を感じるということ。
 「たいへんご苦労さまでした」や「ご迷惑をおかけしないかと心配です」や「あまり長くなりはしないかと心配です」など「こんなことを言う人は、まさにそのとおりだと思わせるか、私たちをいらだたせるか、どっちかである」

 状況によるのだろうが、「ご迷惑をおかけしないかと心配です」のような言葉を恣意的に使われた場合は非常に不愉快になる。

 Aさん「ご迷惑をおかけしないかと心配です」
 に対して、
 Bさん「そう、迷惑だからやめてよね」
 という会話を記すとき、第三者である人は、ABどちらに好感を持つであろうか?

 断章58(以下全文)
 君は作法を知らないね。「どうぞお許しください」こんな言いわけさえしなければ、失礼なことがあったとは、気がつかなかっただろうに。
 「恐れ入りますが」この場合、悪いのは彼らの言いわけだけなのである。

 身近にあるこういう言葉が「本質的な失礼」を覆い隠してしまうのが現代なのだろう。
 それは、悲しくも日本語自体がその意味性を失ってきた印なのかもしれない。

 断章59
 「反乱の炬火を消去する」あまりにけばけばしすぎる。
 「その天才の不安」大胆な言葉が二つで多すぎる。
 第一章の最後にふさわしく難解である。

 以上、第一章「精神と文体とに関する思想」が終る。
 次章は「神なき人間の惨めさ」となる。
 パスカルの思想が少し浮き上がってくるのではないかと期待する。