110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

実録日本汚職史(室伏哲郎著)

 本書は1976年ペップ出版から「汚職学入門」として刊行されたものを、改訂、増補し、本題名にてちくま文庫版化されたもの。

 財政の累積赤字や政治の機能不全など、現代についてぼやくことは多々あるけれども、本書を読むと、「なるようにしかならない」と、妙に納得してしまうところがある。
 逆療法ということなのだろう、そういう本だ。

 本書には、明治からの昭和にかけての政治家の汚職について取り上げ、それが、いかにうやむやになって行ったか、その過程を「これでもかと」いうぐらい繰り返し記している。
 政治が悪いのは今に始まったことではなく、随分前からあったことで、その体質を残念ながら転換できていないという、簡単にいえば、ただそれだけのことなのだ。
 汚職の疑いで、自分の名前が挙がり、それを無罪で通り抜けることが、首相の要件の1つではないかと思えたりもするのだ。
 それは、権力というものの魅力であり、それを手に入れるための、イニシエーションであるとも言えよう。

 さてさて、現在は、そういう体質を変更できる世の中なのだろうか?・・・たとえば、若い世代の人たちが立ち上がれば、実現するだろうか?
 または、財政破綻という、大事件で解決にいたるのであろうか?

 やはり「なるようにしかならない」のだろう哉。