110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

電子書籍の衝撃(佐々木俊尚著)

 本書はディスカバー・トゥエンティワンというところから2010年に刊行されたもの。

 電子書籍ってどうなんだろう?私の感覚では未だはやっているようには思えないのだが、という疑問に105円棚にあったこの本は答えてくれるのではないかと期待したのだ。

 まぁ、結論的には、電子書籍の普及のための前段階として、供給側、すなわち出版社側がもっと内容の充実した本を出版しつつも経営がなるたつようになること、そして、需要側が、もっと本を読むこと、この当たり前の条件が浮上してきた。
 本書では、若者は本を読まないという理屈に対して、小学生の図書館の利用状況をもとに反駁している、そう、本を読まないは本を買わないではないのだ、逆に、私など50代の社会人が本を読まないことを指摘している。
 さらに、この理屈を拡大すれば、高齢化が進めば進むほど、視力や気力が衰退して本を読めなくなる比率が増えるという可能性は否定できない。
 そういう状況なんだから、電子書籍という機械に出版不況の根本問題の解決を求めるのではなく、根本にもどって本を作ることとと本を売ることをよく考えることが必要なんだなぁということになりそうだ。
 そして、若者を子馬鹿にして、安易に「本を読まない問題」などの因果関係の目くらましをしないことが大切なのであろう。
 もし、若者が本を読まないことにより、知恵がつかないのならば、その原因は彼ら自身にあるのではなく、特に大きな要因として彼らの親の存在があるのだ・・・と、そのことを自覚できないと問題の本質が(見え)なくなるのではないかと思う。
 
 とまぁ、本書は表題とは随分違うところへ漂流してしまう本であるのだ。

 ところで、電子書籍ってどうよ?
 私としては、講談社学術文庫の、現在絶版のものが、1ダウンロード100円程度で講談社さんがやってくれたら、今まで集めた分の損失は目をつぶってもリーダー買います。