110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

批評の精神(古在由重著)

 本書は、古在由重著作集第三巻、勁草書房、昭和40年刊行のもの。

 本書の少し前に「ペルソナ(猪瀬直樹著、文春文庫版)」という三島由紀夫の評伝を読んだので、奇妙な比較をすることになった。

 本書の著者はいわゆるマルクス主義、すなわち左側だ、そして、三島由紀夫は右側だ、どこに共通点があるかというと、どちらも現状の社会システムに不満があり、あわよくば、変えたいと望んだということだ。
 そして、三島氏は行動を起こし(何か児戯のようだったが)、本著者は、思想で社会の変革を鼓舞した。
 
 しかし、現在、なおそのときのシステムは存在する。

 さて、これから先を担う若い人たちは、どうするのだろうか?
 先人がそれほど壊したかったシステムと、どう渡り合っていくのだろうか?
 
 たぶん、そんな段階は通り越してしまったものとお見受けする。