110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

韃靼疾風録(司馬遼太郎著)

 本書は1987年中央公論社刊行の物、私は、中公文庫版で読む。

 文庫版でも上下巻で1000ページを超えるので、読むのに時間がかかるのだが、内容はとても面白いので、飽きることは無い。

 桂庄助なる人物が奇縁から女真国へ行き、そこで明の崩壊と清の勃興に立ち会うという筋書きで、日本人の目線を保ちながら物語を叙述するという、その登場人物の作り方に、著者の手際を感じる。

 一見、あまりにも大きさが違いすぎて、戦いにならないような二者がある条件のもとでは、圧倒的に弱く見える(ここでは清だが)ものが、巨大なもの(明)を打ち負かすということも、実際にあり得るのだという教訓を与えてくれている。

 それは、日本も経済的に大きくなったけれども油断したらだめよ、という見かたもあろうし、異民族に支配されながらも動じない中国と言うシステムを侮ってはいけない、という見かたもあろうかと思う(※これは、同じことを表裏で表現しただけだし、事実そうなってしまっているなぁ)。

 私的には、この本を読みながら、現在家電量販トップのヤマダ電機が、私の未だ若かった頃は、群馬のとある地方都市の小規模な家電店であったことを思い出す。
 ヤマダ電機よりも、いちはやく立ち上がったのは、お隣の栃木県のコジマ電気だったし、日本国内では、九州のベスト電器などが、一時は首位にいたはずだ。
 しかし、現在はヤマダ電機がトップだ、その社史を調べれば、この全国制覇の一端を伺うこともできよう、そして、いかに小規模であろうと、未来には必ず(覇権を得る)チャンスがあるのだということも言うことができよう。
 しかし、それをつかむには、ある種の才覚と運も必要なのだ。
 それは、宝くじより難しいだろうな・・・たぶん。