110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

レヴィナスと愛の現象学(内田樹著)

 本書は2001年せりか書房から刊行されたのだが、なんと2011年に文春文庫版として入手しやすくなった、これは事件だ、私は、きちんと新本を買った(珍しいことだ)。
 
 本書を読んで、無理矢理「地獄少女」の設定を結びつけると様々な事が読み取れる、果たして、「地獄・・・」は不条理とか理不尽な話なのか、それよりも、本書の様な現象学的に捉えた私と他者の関係を敷衍してみることにより、何か得体の知れない事・物が見えてきそうだ。
 そう、人間の実存自体の不条理と、我々が考えている「善悪」というものが、その人間社会の中で決められたことにすぎないこと、その点に気づくと、本当に不条理なのは「閻魔愛」ではなく、人間たちであるのだと思えてくるのだ(藁人形の糸を引くのは「男性性」によるとかね)。
 そう、あれ(地獄少女)は、人間社会を超越して見ると、そのシステムを人間によって作られている事が見えてくるのだ・・・確かにフィクションだが、それほど非現実的ではない「地獄流し」を除いては。

 まぁ、今は、そんな偏屈な読書をしているのだ。

 しかし、それにしても、このような本が文庫化されるとは、しかも、意外に安く(743円税別)手に入るとは、これを指して、喜んで良いのか、悲しんだ方が良いのか、その顛末は、あと10年くらいすると見えてくるのだろう・・・かな?