110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

読書の技法(佐藤優著)

 本書は、2012年東洋経済新報社刊行のもの。

 超人的なスピードで本を読む速読法の本は何冊買ったことだろう、未だに、その境涯にはほど遠いのが現状だ。
 本著者も速読術を会得して、大量に本を読む事ができると他の著作に記してあったが、本書では、その方法が記されているのだ。
 それは、奇をてらったものではなく、数学書や語学の書など読むのに時間の掛かる本は、時間を掛けて読む事が必要だし、読む価値のない本は早く見切りをつけて読む事を止めるという、普通の人にもできそうな事が書いてあるから、納得してしまうのだ。
 そして、本を早く読みたいのならば、基礎的な知識、それも高校生レベルの知識をきちんと会得しておかないと、正しく理解する事ができないなどという、なんとも耳の痛くなる話も書いてあるのだ。
 (ロシア語を知らない人に「カラマーゾフの兄弟」の原書は読めないよね、なんて比喩がでてくる)
 さらに、著者がその方法をどう実践しているかまで書かれているので、あとは「あなたも私(佐藤優)の方法を実践する、しない?」という選択が残されているだけだ。

 これは、ある意味凄い本である。
 だから、古本でなく買ってしまった。
 本書を読んだ以上は、実践するか、しないかだが・・・・?
 
 ちなみに、本書での鳩山由紀夫の評価にも少し考えさせられるところがあり、一筋縄ではない本著者の思考の断片を伺わせてくれる。