110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

天馬空をゆく(神坂次郎著)

 本書は昭和63年光風社出版刊行のもの、私は、新潮文庫版で読む。

 「金谷道人御一代記」という絵巻物風の自伝がある、これを底本として、現代人に分かるように著してくれたのが本書である。
 この金谷上人という主人公だが、相当生臭い坊主であり、風狂と自称した一休と比べても、はるかに俗っぽい。

 だから、宗教のなんのという事は除けておいて、この破天荒な生き方を、どこまでが本当かと訝りながらも読んでいくと、何かほのぼのとするところがある。
 
 著者は、(歴史に埋もれていた)この人物を良く見つけてきたものだと感心した、そして、その資料を現代語に翻訳し、小説の形で示してくれた、その労力には敬意をはらわざるをえないのだ。