110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

私たちはいかに「蟹工船」を読んだか

 本書は白樺文学館多喜二ライブラリー2008年発行のもの、「蟹工船」読者エッセーコンテストの入選作を集めたもの、ちとおもしろそうなので読んでみる。

 さすがに長編のエッセーは難しいのか、論理が破綻しているものが多い、プロレタリア革命を起こせばいいのか、フランス革命(民主主義革命)を起こせば良いのか、良くワケがわからないのが多い、それもそういう世直しを「私がやる」なんていう作品は(当然)皆無だ、ならば、もうすこし作品そのものを味わっても良さそうなのだがそういう作品は少なく、なにか勧善懲悪の呪縛に浸されてしまった感が強い。
 ・・・これは、あくまで私的な意見だが。

 その中で、奨励賞での「『蟹工船』とダンボールの人たち(陳君)」と、「現在(いま)を射る視点-小林多喜二蟹工船』(神村和美)」は、地に足がついている感じがして好感をもった。
 (作品の)細部に触れている感じがしたのだ、変なイデオロギーもどきではなくて。

 その時(コンテスト当時)はマンガ版が主だったのなのかな?
 しかしながら、それは「蟹工船小林多喜二)」なのだろうか、どうか?