110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

断章109~113

 断章109は「健康のときには、もし病気になったらどういうふうにやっていけるのだろうと怪しむ」ところが「病気になったらなったで、喜んで薬をのむ」それは「病気がそうさせるのだ」そのときに「人はもう、健康があたえていたもろもろの情念や、気ばらしとか・・・の欲望をもたなくなる。そういうものは病気のときの必要とは両立しないものである」からだ、自然は「現状にふさわしい情念や欲望を与えてくれるのだ。われわれを悩ます心配というのは、自然ではなく、われわれが自分自身に与える心配だけなのである。なぜなら、その心配は、われわれの現に在る状態に、われわれの現にいない状態の情念を結合させるからである」・・・人間は、常に現状に満足できないものであるのだろうか?
 「自然は、あらゆる状態においてわれわれをいつも不幸にするので、われわれの願望は、幸福な状態というものをわれわれに描いてくれる。なぜなら、その願望は、われわれの現に在る状態に、われわれの現にいない状態の快楽を結合させるからである」しかし「われわれがその快楽に到達したあかつきに」も「それだからといって幸福にはなりはしないであろう。なぜなら、われわれはその状態にふさわしい他の願望を持つだろうからである」

 欲望を否定するということであろうか?
 そして最後に「この一般的命題を、個別化する必要がある・・・・」で終わる。

 断章110は「今ある快楽が偽りであるという感じと、今ない快楽のむなしさに対する無知とが、定めなさの原因となる(全文)」
 ここでのキーワードが「定めなさ」という言葉である。

 断章111「定めなさ。人は、普通の(楽器の)オルガンをひくつもりで、人間に接する。それは本当にオルガン(器官と掛けているのかな?)ではあるが、奇妙で、変わりやすく、多様なオルガンである。〔そのパイプは順にならべられていない。普通のオルガンしかひけない人は、】このオルガンでは和音をだせないであろう。・・・がどこにあるかを知らなければばらない。(全文)」
 「・・・」は本当に略されているので各自想像することになる。

 断章112「定めなさ。物事にはいろいろの性質があり、魂にはいろいろの性向がある。なぜなら、魂にあらわれてくるもので単一のものはなく、また魂はどの対象に対しても単一なものとしては現れないからである。そこから、人は同一のことで、泣いたり笑ったりするということが起こるのである。(全文)」

 断章113「定めなく奇妙なこと。自分の勤労だけによって暮すことと、世界最強の国に君臨することとは、正反対なことである。それがトルコ皇帝という人物のなかで結合しているのである。(全文)」
 この断章はわからん!!

 パスカルご本人に確認できれば、まず否定されるだろうが、私は「定めなさ」よりも「諸行無情」という言葉の方がしっくりくるのだが、いかが?