110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

中学校読書感想文集「けやき」を読む

 本書は新宿区教育委員会2010年刊行のもの通算第25集目にあたる。
 近くの図書館でリサイクル扱いだったのを拾う、こういう本は滅多に読めるものではないので貴重だ。

 さて、本書のうちで一番下品な文章は「審査を終えて」という作成委員による文章だ。
 大人のただ書き慣れただけの報告文はこの中で最低の栄冠を与えられても至極妥当であろう。

 さて、内容について言えば、これもあまたいる中学生の中のある一部の文章を読んだだけなので一般的だとは思えないが、中学一年生はまだ小学校との境界があいまいなのに対して、中学二三年になると、相当に悧巧になっている。
 ちなみに、作品の中のあるものは頭の中で理解して書かれた文章であり、あるものは拙劣ながらも自分の体験を通して書かれた文章があった、これはどちらが良いのかなぁとしばし考えたところであった。
 このまま平和な世の中が続けば、頭が良い前者が良く、動乱の世の中になれば、経験を重視する後者が良いのではなかろうか、などとばかな想像をしてみた。

 また、ちょっと羨ましいのは、若年にして二読三読している本を持っている子たちだ、それは一つの宝である、そして今もって濫読している私にとっては驚異(と羨望)である。

 読書は簡単に教えられるものではない、教育者は読書離れを問題にしている様だが、ちがう方法を講じても良いのではないか(私は活字中毒なので以下のようなことはできないが)、マンガ、ビデオ、映画、あまつさえゲームを見たりやったりした感想を提出させるという手はあろう、現在は、小説よりもマンガ原作の方に才能が移っている傾向さえあるのだから、ね。