110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

日本のルールは間違いだらけ(たくきよしみつ著)

 本書は講談社現代新書2009年刊行のもの。

 まぁ、日本の特にお役所関係の仕事は良く分からないし、私たち一般人が見ても非効率だなと思うことは多いよね、そういうことを題材にしたのが本書。
 奇しくも、豊洲市場移転問題が出てきて、これはひどいなという世論が盛り上がってきてしまったのは、まぁ、長い間の伝統のたまものということになるのだろう。
 いままでも数々の不祥事はあったんだから、うまく対応してね、うやむやにしないでね、でも大衆はまぁ事件の報道が落ち着いたら1年も経たずに忘れ去ることは間違いないからね。
 でも、忘れられたからと言って手を抜くと、あなたがた(官僚や公務員)のリタイアした後に炎上したりするから気をつけた方が良いと思うよ。
 なんだって、今の日本人は20世紀の人たちとは気質が違うからリタイアした後にも責任追及されるようになる可能性も結構あると思うよ。

 そんなわけで本書では1点だけ、車の右ハンドル採用について、この選択が多大な損失を生んだという見解があるが、逆に、利益もあったのではないかと思った。
 それは、欧米(英国を除く)の左ハンドル仕様にしていれば、確かに、国内向けと海外輸出用に別々の仕様の車を作らなくとも良かった、そういう効率性としてのご指摘はごもっともだ。
 しかし、もし国内が左ハンドルだったならば、そう、海外のメーカーが国内参入しやすくなったわけで、今の目からすれば海外よりも優れているとされる日本メーカーも、例えば、高度成長期などでは未だ技術的に未熟でもあったわけだ。
 その参入障壁は、当時の通産省であり、また右ハンドルであったわけで、もし、左ハンドルを採用していれば、いちはやく米国などのメーカーが乗り込んできただろう、もしくは、資本提携と言うかたちで、イメージ的には、今は昔の面影が大分薄れたが、日本IBMのような形で君臨するのではないか?
 そうすると、純国産のメーカーは技術的に不利になるわけで、まずは、技術提携、そして、資本提携とすすみ、トヨタ、日産、ホンダが純国産という伸長ができたかどうかは、歴史は繰り返せないのでわからないが、危険な気がする。
 だから、右ハンドルは必ずしも不利益だけではないと思う。
 しかし、現状としては、その効果はほとんどないように思う。
 これは、昔々、主力だった「5ナンバー車」が現在は3ナンバーにその座を明け渡した時に痛感した。