110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

ちょうど良い事例があった

 統計を利用した記事を読むときに大切なことがある。
 
 BuzzFeedというサイトに"深刻化する犯罪の高齢化。「犯罪白書」から見える6つのこと"という記事があった。
 表題からは高齢者が悪者というイメージが思い浮かぶ。
 ここで、納得してしまう人もいるかもしれない「さもありなん」というわけだ。
 内容を読んでみよう。
 「1.刑法犯罪は戦後最少を更新」・・・刑法に触れる犯罪は減っているようだ。
 「2.いちばん多く検挙されているのは高齢者」・・・それ見たことかと思う人もいるかもしれないが、細かく読み込んでいこう。
年齢層別にみてみると、検挙された人数は65歳以上が4万7632人(19.9%)と最多だ。
社会の高齢化に伴うものであるとも言える。
いちばん人数が少ないのは、30代の3万4729人だった。
ただし、10万人あたりの人口比でみると、高齢者の割合は142.5人と最低。
20代(321.3人)が最多になる。
ちなみに、受刑者の高齢化率も10.7%と、過去最高を記録している。
 犯罪者の比率が高いのは20代だということらしい、相対的に若者の数が少ないので隠蔽されているが、自分が出会った人が犯罪者である可能性は20代の方が高いということだ。

 更に、「3.高齢者の犯罪の半分以上が「万引き」」
刑法犯として検挙された女性高齢者(1万6297人)のうち81.2%、男性(3万1335人)のうち45.6%が、万引きで検挙されている。
傷害と暴行は男女合わせて5523件と過去最多。20年前と比較すると、20倍にまで膨れ上がっている。
白書ではこの点について、「激情・憤怒にかられ、頑固さやプライドなどを背景として犯行に及ぶ傾向がある」などと指摘する研究を引用している。
 高齢者は万引きが多いらしい、これはこれで問題だが、傷害や暴行といった犯罪が過去最大であり、このジャンルでは高齢者は相対的に少ないことが伺える、少し考えても、体力的にも少ないだろうことは予想できる。
 だから、この題名自体を否定するいわれはないが、スーパーなど店舗運営をされている方々は高齢者の万引き対策を考慮する必要はありそうだが、凶悪犯罪に巻き込まれる可能性は高齢者以外の人たちを警戒した方がよさそうだということだ。
 すなわち、私たちに関係しそうな「深刻化する犯罪」に掛かるところは、傷害と暴行が20年前の20倍に増えたことを指摘した方が良さそうだ。
 そして、その対象は「高齢者」ではなさそうだ。
 また、女性の凶悪犯罪者も少ない、警戒するは統計的にも男性である。