もう、本書が文庫版で出版されていたということだけで胸がいっぱいになってしまう。
ちなみに本書とはこういうものだ。
森鴎外こと、当時本郷駒込千駄木町廿一番地に住する陸軍々医監森林太郎は児玉せき(三十二)なる女を十八、九の頃より妾として非常に寵愛し、かつて児(こ)まで挙(もう)けたる細君を離別してせきを本妻に直さんとせしも母の故障によりて果たす能(あた)わず。母も亦鷗外が深くせきを愛するの情を酌(く)み取り、末永く外妾とすべき旨をいい渡し、家内の風波を避けんためせきをばその母なみ(六十)と倶(とも)に直ぐ近所なる千駄木林町十一番地に別居せしめ、爾来は母の手許より手当てを送りつつありとぞ。
「あの
森鴎外も妾を持っていた、野蛮だ」とでもコメントしようかと思ったが、改めて読むと、当時の社会状況でなるべく波風を立てないように配慮していることが伺えるように思うのだ。
だから、その表題や抄報だけで判断してはいけない場合もあるのだね。
たとえ短期的に白黒つけても、そこで終わらないことが多いよね。
今の、
北朝鮮のミサイルでも20世紀には可能性がほとんどないと言えたからね。
一見するととても小さな力かもしれないけれども、それを継続し続ける人や団体は甘く見てはいけないね。