110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

愛と暴力の戦後とその後(赤坂真理著)

 本書は講談社現代新書版。
 まえがきに「これは、研究者ではない一人のごく普通の日本人が、自国の近現代史をしろうともがいた一つの記録である。」とある。
 まぁ、ほとんどの日本人はその「近代史」を探ろうともしないので、その面では良い意味の啓蒙書だ。

 結論的には、多少虚無的なところに落ち込んでしまいそうだが、そこを踏まえてどう考えていくのかがポイントなのだろうね。

 本書では、確かに、解釈として違和感がある部分はあるのだが、それを補うような形で、興味深い視点も散見された。
 でもね、安保闘争は60年の方にもっと注目して欲しかった。
 だから、思わず「小熊英二を読めよ」などと思っていたら、なんとしっかり参考文献の中に入っていた。
 まぁ、なんにせよ、世代間闘争というのは予想以上に深刻なものなのかもしれないね。
 あと、鶴見俊輔に言及したところはストライクです、戦後の思想を考える上では外さないほうが良い人ですよね。

 これは、まったく直感から出た(まぁ)妄想(余談)だが、現在の後期高齢者は、未だなんらかの戦争経験者世代だが、ほどなく、奇しくも2020年には戦後世代が後期高齢者になる、戦前戦後とこの間にある深い(経験の)溝が、いわゆる高齢者への対応(高齢者問題?)にどう影響がでてくるのかが、とても心配だ。