110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

孤高の人(新田次郎著)

 私は新潮文庫版で読む。

 これは懺悔だが、最近、本をぞんざいに扱うことが増えた、本書も、なんとなく積んでいた(本の)山の下敷きになっていて下巻の方が少し寄れていた。
 これはいけないと思って、真面目に読みだしたのが一昨日位で、そういう経緯の為か一気に読み進められた。
 相当不遜な読書の動機ではある。

 本書の私の感想は登山の描写がすばらしい、残念ながら冬山を体験したことがないので、心から読み込むことはできないとは思うのだが、それでも、多少とも登山をした者として、ため息がでるのだ。

 そして、最期の登山となる北鎌尾根の描写では、自然の厳しさに対する、人間の驕りを戒めているように思うのだ。

 加藤文太郎は山の神と契約した。
 神を崇める者、すなわちお前の登山は生かして帰してやろう、しかし、神を冒涜するものと来たならば、その報いを一緒に受けてもらおう。
 そして、その言葉は成就するのだ。

 でも、もしかしたら、山の神は、彼を愛するがゆえに近くに呼び寄せたかったのかもしれないね。

 ちなみに、この作品は漫画版もあるようだ。