110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

「税金払ってないくせに」炎上した夏野剛氏には見えていない、日本の本当の問題とは

「税金払ってないくせに」炎上した夏野剛氏には見えていない、日本の本当の問題とは
9/5(日) 7:31配信 webマガジン mi-mollet
政府の「規制改革推進会議」議長に就任した夏野剛氏(KADOKAWA社長、慶応大学特別招聘教授)の税金と格差に関する過去の発言が波紋を呼んでいます。簡単に言ってしまうと、低所得の人は事実上所得税を払っていないので、格差を問題視する資格はないという趣旨なのですが、低所得者は税金を払っていないという話は本当なのでしょうか。
今回、ネットで話題になっているのは夏野氏による今の発言ではなく、過去のツイッターでの発言です。
 ただ、夏野氏は今年7月、五輪の無観客開催の是非に関して、「そんなクソなピアノの発表会なんてどうでもいいでしょう、五輪と比べれば。だけどそれを一緒にするアホな国民感情に、今年選挙があるから乗らざるを得ないんですよ」と発言し、謝罪に追い込まれたという経緯があります。こうした発言の直後に、規制改革を議論する政府の要職に就任したことから、一部の論者が過去の発言を取り上げ、激しく批判しているという図式です。
波紋を呼んでいるツイッターの発言は、「税金払ってないくせに格差を問題視する若者、将来に希望なし」というものです。この発言だけでは、言葉尻をつかんだだけの批判とも解釈できますが、夏野氏はほかにも「税金も払っていないのに年金と社会保障要求し、公共事業で仕事作れという方が傲慢じゃない?」「年収400万円以下は事実上所得税払ってません。まさか消費税だけで税金払ってるとか言うなよ」とも発言しているので、基本的な価値観に大きなブレはないと思ってよいでしょう。
一連の発言は、年収が低い人はほとんど税金を払っていないということが大前提になっているわけですが、果たして、これは本当なのでしょうか。
結論から言うと、少なくとも所得税に関して言えば、低所得の人が実質的に無税に近い状態であるというのは事実です。所得税の名目税率は、課税所得が400万円の場合20%ですが、実際には各種控除が適用されますから、年収400万円の人の課税所得はこの金額よりも大幅に低くなります。
控除額は扶養の有無などによって異なりますが、年収400万円の人が支払う実際の所得税額は数万円というレベルがほとんどなので、限りなく無税に近いといってよいでしょう(もし気になるようでしたら、ご自身の源泉徴収票をチェックしてください)。
欧米各国の場合、低所得でもガッチリ税金が取られますから、日本の場合、所得が低い人ほど税制面で優遇されているのは事実です。
ただ、税金というのは自然現象ではなく、主権者である国民の総意として法律によって定められたものです。もし不備があれば、法律を改正すればよいだけの話ですから、今の制度で税金を払っていない人は発言する資格がないといった話は、当然ですが当てはまりません。
 また、若い世代との比較についても、税率だけで議論するのは公平とは言えないでしょう。日本の税制は以前から同じ体系で、お金持ちからたくさん税金を取り、お金がない人からは税金を取らないという考え方ですから、昔も低所得の人は所得税を払っていませんでした。
 しかし、今、中高年になっている人は、消費税がゼロもしくは3%といった時代に若い時代を過ごしており、消費に際して税金を負担する必要はありませんでした。また年金保険料の料率も、厚生年金の場合は現在18.3%ですが、1980年代は12.4%でしたから、同じ年収であれば税金や保険料の金額はかなり小さかったと言って良いでしょう。
しかも日本の相対的な賃金は今よりもずっと高く、輸入品も安く買えましたから、今の若者世代の負担感の重さは、当時とは比較になりません。
近年、負担感が極めて重くなっている理由は、日本が経済成長できておらず、日本人の賃金が上昇していないことに加え、高齢化が進み、社会保障の負担が増大していることです。経済が順調に成長し、賃金が上がっていれば税収も増え、結果的に高齢化の問題にも対処できますから、最終的には日本が成長できていないことがすべての元凶ということになります。
戦後の日本は、お金持ちから税金を取るという方針であり、どちらかというと弱者に優しい税制でしたが、日本経済の貧困化が進んだことから、たとえ所得税が安くても、低所得の人は苦しい生活を余儀なくされているというのが現実でしょう。
加谷 珪一

実は、夏野氏が正しい、コメントには様々な批判があったのだが、それならば、国民自体が、自分の自由を手放す覚悟が必要。

例えば、コロナ禍でも、ワクチン接種は自由、自粛要請に従わないのも自由というのならば、格差も認めないといけない。

日本は、良い意味でも、悪い意味でも、アメリカ化が進んでいる、ご存知のように、アメリカは表面上はわからないが、典型的な格差社会だ。

そして、特に目の前で現れているように、大きな会社に正社員として勤めれば一安心という、戦後の昭和に少しの間あったような社会ではない。

自由なだけ経済格差が生まれるのだ。

だから、自分が低所得層にあり苦しいからという感情的な理由だけで夏野氏批判するのでは残念ながら本質的に間違っていることになる、自分も何かを失うことでそれが実現されることも認識しないといけない。

あとね、この手の記事で歴史観を出す人の欠点は、だいたい、戦後の良い頃の数字を出すのだけれども、本当の終戦の混乱期も経験された方々も、未だ生存されているし、団塊の世代の子供の時代もそうだろうが、今なんかよりもっと、ひどい状態だよ。

できれば、それとも比べようよ、歴史のある部分を比べて、「あの時は良かった」というのも、正解なのかもしれないけてども、歴史自体が変遷することから、「あの時は悪かった」も併記しないとね。

戦後の日本の繁栄を振り返って、幸運とハードワークという事が言われるけれども、確かに、振り返るとそうかもしれないけれども、当時のハードワークは国民の(いやいやかもしれないけれどもね)選択であり、当時と今は比べられないくらいみんな働いていたんだよね、パラリンピックで、車椅子バスケが「ベリーハードワーク」するということで、奇跡的な成果を上げているけれども、昔の日本は国を上げて「ベリーハードワーク」していたことも伝えてほしいな、これは、私より少し上の世代の話だよ(逆に、自由はその分なかったかもしれないね?)。

やっぱり、たまに見かける、「俺達国民は税金を払っている」という国への批判は一面正しい、しかし、払い込まれる方は、「たくさん払ってくれる人たちや法人に優遇したい」は正論ではないのだろうか?

そういう側面から考えると、やはり、現在の政府でも、コロナ禍に対しては、良く対応していると思うよ。