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「キレる老人」は他人事ではない…中高年が気を付けるべき「高次脳機能障害」、ヤバい4つの症状とは

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症状が病的な原因であるならば、うつ病などの対応と同様に周囲の健常者が適度に対応するべきだろう、あくまで病気なのだから。

あと、高次脳機能障害のうち、スマホ脳でなったしまう可能性のあるもの、たとえば「2.物事に集中できなくて、ミスを重ねる注意障害 3.スケジュール通り物事が進められない遂行機能障害 4.場違いの場面で怒ったり、笑ったりする社会的行動障害」などは、老人がどうこうのとは別に検討したほうが良いと思う。

「キレる老人」は他人事ではない…中高年が気を付けるべき「高次脳機能障害」、ヤバい4つの症状とは
5/19(金) 11:00配信 デイリー新潮
怒りっぽくなった原因が病気だと自覚できないことも
 目をつり上げて、「オイ、早くツリをよこせ!」と、コンビニエンスストアの店員に声を荒らげる初老の男性。あるいは電車の乗降中、「モタモタするなよ!」と大声を出す会社員風の中年男性。近年、別に怒る必要がない場面でのこうした諍いが増えつつある。
 昔はよく「かんしゃくを起こす」という言葉が使われたり、俗に「すぐにキレる人」や「短気な性格な人」に分類されたりしてきた。だが要因として、本人も気がつかない隠された脳の病気が進行しているケースも少なくない。とくに中高年層に目立つ「感情コントロールの急変」を、医療と老年心理の両面からみてみよう。
 サラリーマンが抱える多種の病気に詳しく、脳関係の著書も持つ「弘邦医院」(東京・江戸川区)の林雅之院長は、“怒りっぽくなる”一因として脳の障害を指摘する。
「普段は物静かな人が、短期間で表情がガラリと急変することがあります。これは、単なる“短気な性格”ではすまされません。医学的にみると、『高次脳機能障害』という脳の障害が潜んでいる心配があります」
 この耳慣れない「高次脳機能障害」とは、いったいどのような病気なのか。
「交通事故などで頭を強く打ったときや、脳に障害を起こすような病気を経験したとき、多岐に及ぶ障害が後遺症として起こる脳の病気を高次脳機能障害と言います」
 高次脳機能障害の症状は主に以下の4つだ。
1.新しいことが覚えられない記憶障害
2.物事に集中できなくて、ミスを重ねる注意障害
3.スケジュール通り物事が進められない遂行機能障害
4.場違いの場面で怒ったり、笑ったりする社会的行動障害
 この病気に罹患していても、外見上は見分けがつかずごく普通である。本人にも、怒りっぽくなった原因が病気という自覚はない。周囲の人たちからも、単に「短気な性格」や「キレやすい人」とみられてしまう。結果、怒鳴ったり突っかかったりした相手がもし本当に短気な人なら、場合によっては取り返しのつかないトラブルを招きかねない。

高次脳機能障害だけではない“怒りっぽくなる原因”
 前述したように高次脳機能障害は、自転車やバイク、車による交通事故、または、不注意で柱などに頭を強打した際の脳障害の後遺症である。とはいえ、中高年層にとって決して他人事ではない病気だと、林院長は警鐘を鳴らす。
「高齢の人は『運転をほとんどしなくなったから、頭を打つような事故とは無縁』と、安心するかもしれません。でも、それは間違いです。高次脳機能障害は交通事故のほかに、要因として中高年層が多く罹患する脳卒中、脳腫瘍などの脳血管障害でも多く発症します。比較的に軽い脳梗塞でも脳血管障害と診断されますよ。また、治療を受けた数カ月後に、高次脳機能障害を発症することもあります」
 実際、こんなデータがある。「東京都高次脳機能障害実態調査検討委員会」が発表した概要版(2008年3月)によると、高次脳機能障害者のうち脳血管障害者は81.6%。交通事故などの脳外傷が原因の患者は約10% に過ぎなかった。加えて年齢別では、30歳以上に脳血管障害が圧倒的に多いというデータも示されている。
 林院長によると、怒りっぽくなる原因はほかにもある。
高次脳機能障害のほかに、甲状腺機能亢進症(甲状腺が活発に活動し、血中の甲状腺ホルモンが多く分泌される病気。バセドウ病とも)やうつ病低血糖不眠症などがあります。ほか、肝硬変によって肝臓の解毒能力が低下した結果、脳に毒素が回って怒りっぽくなる症状が出ます」

前頭葉の萎縮で起こる性格の「先鋭化」
 加えて、認知症の中でも「ピック病」と呼ばれるものに罹患すると怒りっぽくなるという。
「初老期に発症しやすいピック病は、前頭側頭型認知症の1つです。脳の前頭葉と側頭葉を中心とした萎縮によって発症し、やはり感情のコントロールができずに怒りっぽくなります。認知症は全般的に、露出などの性的逸脱や物忘れが起こりますよね。厄介なのは、怒りっぽくなることも含めてそれらは総じて本人の自覚がない、“隠された病気”ということです」
 若い頃は出来ていた感情のコントロールが、加齢やピック病などによる前頭葉の萎縮で出来なくなってしまう。老年精神医学では、前頭葉の萎縮で起こる性格の変化を「先鋭化」と呼ぶ。いったいどういう状態なのか。
 具体例として、家族間でよく起こる出来事をあげてみよう。たとえば突然、「私のお金がなくなった!」と、事実でないことを口走ること。家族や周囲の人たちが「どこかに置き忘れたのでは?」となだめると、「私の勘違いだった」と修正し、態度を改めることもある。
 ところが「先鋭化」が徐々に進行すると、「何か買ったのかもしれない」「保管場所を忘れたかもしれない」「そもそもなかったのかもしれない」など自分であれこれと想像して、事実を追究するようになる。「先鋭化」がさらに進行すると想像も出来なくなり、ついには「子どもが盗んだ!」「お前が盗った!」と、怒りまくる“感情の爆発”が生じるのだ。
 中高年は誰しも、高次脳機能障害および加齢による「先鋭化」について注意が必要だ。とはいえ、本人に自覚がないものをどのように注意すればよいのだろうか。
「家族や周囲の人たちから、『最近、怒りっぽくなったね』『感情が激しくなった』といった指摘を受けたら、何らかの病気を疑ってみることです」
 指摘された事実に怒ってしまうという悪循環もありえる。やはり重要なのは、信頼できる周囲との密なコミュニケーションだろう。
取材・文/段勲(ジャーナリスト)
デイリー新潮編集部